フォトプリンター
目次
2004/09/18 改訂
2004/09/04
XP-100
私は 1998 年頃これを買った。写真品質には感動した。
- 販売: 1998
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- 種類: 熱昇華型
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- 解像度: 306×306dpi
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- 階調: RGB各色256階調処理
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出典: http://www.ricoh.co.jp
XP-100 は Panasonic NV-MPX300C の OEM 製品で、NV-MPX300C はフォトプリンターの歴史に残る名機である。NV-MPX300C に関する詳しい話が
http://www2.dcex.net/printer/severereview/nv-mpx300c/nvmpx300c.html
に載っている。
未だ画質においてこれを越えるプリンターはないかも知れない。しかし..
重大な欠陥(1)
ランニングコストの高さ。(はがきサイズ 50円 / 枚) 今では街の DPE ショップで 35 円ほどで高品質のデジタル写真を焼いてくれる。このプリンターを使う理由が殆どないのである。ランニングコストの問題を解決しない限り昇華型プリンターがマーケットから消えるのは必至である。
重大な欠陥(2)
写真が長持ちしない。何年か経つと写真がシミの方なぼつぼつでいっぱいになる。
最近の面白いプリンター
今回購入を検討したプリンター
SV-P30 SDモバイルプリンター (松下電器産業)
prodb.matsushita.co.jp
一番惹かれたのはSV-P30 SDモバイルプリンターである。大きさはなんと約110mm×約34.2mm×約68mm。持ち歩くには最適だし、なんと言っても撮った写真をその場で渡せる。被写体(モデル)に対しては最高のプレゼントである。デジカメがそのままポラロイドカメラの代わりになりそう。
出典: http://prodb.matsushita.co.jp
しかしランニングコストが高い! (75円/1枚)。(昇華型の宿命か?) このランニングコストに見合うのは、プロの写真家が外国などで人々の生活を撮りそのお礼として写真を渡す場合であろう。今回はあきらめる。
なおモバイルプリンターとして筆者が予てから注目しているのは富士フィルムの光学方式(Printpix)である。この方式は超小型プリンターに向いていると思うのだが、なぜかモバイルをコンセプトとした製品が出ない。(富士フィルムさん、がんばって!)
PIXUS80I (Canon)
Canon には PIXUS 990i などの高級機はあるが、私には設置スペースがないので、どうしてもポータブルタイプに目がいく。
cweb.canon.jp
出典: http://cweb.canon.jp
今回は写真印刷に特化したものを選ぶ事とし、見送り。それからもう一つ。顔料インクがこれからの本命ではないかと感じている。なぜなら染料インクは滲む。滲まないように紙に工夫を凝らすのはどこか矛盾しているように思われるからである。私が間違っているかも知れない。これに関しては近い将来(5年ぐらい後に)マーケットが結論を下すであろう。
PX-G900 (EPSON)
www.i-love-epson.co.jp
出典: http://www.i-love-epson.co.jp
EPSON の顔料系の最新のフラグシップモデルである。マニアであれば当然これを買う。しかし.... 大きすぎるので置き場所に困る。A4版印刷は私には不要。せいぜいA6版までしか印刷しないのだ。性能を維持したまま写真に特化した小型モデルが欲しい。
E-100 (EPSON)
www.i-love-epson.co.jp
出典: http://www.i-love-epson.co.jp
これは女性向けモデルである。それ故にたぶんマニアは敬遠するであろうが、カタログスペックを見る限りなかなかのものである。しかもランニングコストが安い(L版1枚23円!)。 どうせはがきサイズまでしか印刷しない。置き場所がない私には小型であることが至上命令である。これを買う事にした。店頭では PX-G900 と E-100 の出来具合を比較した。その限りにおいては両者を区別する事は難しかった。(お店のサンプル写真に問題点を強調するものを期待するのは無理なのでしょうね。)
E-100 (EPSON) の能力
E-100 は XP-100 に比べて遥かに使いやすくなっている。さすがに 6 年間の歳月の違いは大きい。しかし私にとって最大の関心は写真の品質である。
結論から言えば、「やっぱし、50円(XP-100)と23円(E-100)の違いだね...」XP-100 は捨てられない...
不可解な事
カタログでは PX-G900 も E-100 も解像度は
2880 dpi x 1440 dpi
である。(Canon の PIXUS シリーズは 4800 dpi x 2400 dpi までをカバーしているものが多いが、EPSON のは MSDT 方式でドットの大きさを変調するので、dpi 値を単純には比較できない。)
最小ドットサイズは PX-G900 は 1.5 pl に対して E-100 は 2 pl となっている。(私にはこの違いは決定的とは思えない)
不可解なのは E-100 はダイレクトプリント時には 1440 dpi x 720 dpi で印刷するとカタログに書いてあることだ。
「EPSON Colorio 総合カタログ」より
ハードウエアの最大の能力を発揮できないなんて!? なんとバカな!
実験
テスト画像は私が旅行したときのものを使った。写真の解像度をみるには手頃なサンプルである。
テスト写真 (2048 x 1536)
テスト写真の拡大部分(ピクセル等倍)
カメラは Ricoh の Caplio GX である。このカメラのレンズの解像力は本当に素晴らしい。CCD の限界まで写してくれる。このカメラは 2592 x 1944 , 2048 x 1536 ,1280 x 960 , 640 x 480 の撮影モードを持っているが、上の写真は 2048 x 1536 である。
印刷写真は実物を見ないとなかなか実感はつかめない。Web 上では実物を見せる事は不可能なので、出来上がりの写真をスキャナーで読み取って、それを示す。スキャナーは Canon の LIDE 30。1200 dpi で写真の一部をスキャンした。以下に示す3つの写真はいずれもL版である。(XP-100 はハガキ印刷であるが、印刷範囲はL版より幾分小さい。)
XP-100 による印刷
XP-100 がどれほど素晴らしいかを示そう。最近は DPE ショップがデジタルカメラに対応しつつある。個人用のプリンタに対して超高画質を売り物にする業務用プロセッサを置いている店が筆者の近所(徒歩15分以内)でも3店舗見られる。(いずれも富士フィルムのプロセッサを置いている。この分野ではノーリツと富士フィルムが争っているらしい。ノーリツは DPE プロセッサの分野では世界のトップシェアをとっているとの事であるが日本の DPE ショップにおける富士フィルムの影響力は巨大である。) そのうちの A 店の印刷結果との比較を示す。この店では L版の単価は 35円 + 消費税 である。待ち時間は30分ほどであった。こうした店頭処理の店の他にネットショップもあり、後者の相場は L版 15 円 × 枚数+ 送料(200円) ほどである。
富士フィルムの業務用プロセッサ FronTIer
靴を見ていてはよくわからないが、XP-100 は川面の小さな波をしっかり捕らえているが FronTIer は捕らえきれていない。(ちなみにノーリツの機械も FronTIer と同程度である。筆者は同じ写真を両社のプリンターで焼き比べてみたが、解像度に関しては筆者の肉眼では区別はできない。赤の色合いは異なる。色合いの問題はデジカメでは優劣を付けにくい。)
次に E-100 の結果を示す。
E-100 による印刷
明らかに E-100 は XP-100 に比べて見劣りがする。
XP-100 の出来上がりは素晴らしい。肉眼で見る限り、これ以上の解像度は必要がないように思えるし、カメラの能力を十分に引き出しているように思える。もっとも E-100 の出来具合だって、「写ルンです」のレベルには達している。それで満足する人も多いであろうが、高性能なカメラの能力を十分に反映させたいと考えている人には不満であろう。
Colorio PX-G900 や PIXUS 990i の能力はどの程度であろうか。機会があれば比較したい。(あるいはどなたか協力して欲しい。サンプル画像を渡します。)
MacOSXからのE-100への印刷
分かりにくいので筆者のメモとして残す。
プレビューからの印刷
推奨しない。画像の拡大率を用紙に合わせるのが難しい。
preview.app による拡大率の設定
100% のままだと写真の小部分だけが用紙いっぱいに印刷される。小さな数字、例えば 10% にしなくてはならないが試行錯誤を強いられる。
Adobe Photoshop からの印刷
Photoshop は画像の拡大率を用紙に合わせられ、かつスーパーフォトモードに設定できるが分かりにくい。
まず Photoshop に画像を読み取り「ファイル」メニューを見ると「プリントプレビュー」が見える。これを選択する。
Photoshopの「ファイル」メニューの一部
注意:「プリント」メニューを利用する場合には、先に「用紙設定」行う。
「プリントプレビュー」を開くと「用紙設定」が見える(下図)。
プリンタと用紙を選択し、さらに「方向」を適切に設定する。拡大率を100%のままにする。用紙設定が終わったら、「プリントサイズ」を「メディアサイズに合わせて拡大・縮小」にする。
そして「プリント」を選ぶ。
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「印刷設定」 |
「スーパーフォト」 |
「印刷設定」から「スーパーフォト」を設定する。
独り言: 設定の全体像が見えないのは嫌ですね...
写真用プリンターは個人に必要か?
DPE ショップはこれから急速にデジタルに対応するはずである。これらの店が個人レベルのプリンターに劣る写真を提供するとは考えにくい。個人が手にする最高画質のレベルの写真は DPE ショップで簡単に手に入ると考えると写真を目的として高性能プリンターを買う必要があるかは疑わしい。現状では1枚あたりの印刷コストは同程度であり、プリンターを買えばそのコストが暗に印刷コストに上乗せされている。おまけに個人用のプリンターは日進月歩である。そうしたことを考えると写真印刷を目的にプリンターを選ぶのは現在ではかなり特殊なニーズに沿ったものと考えざるを得ないのである。