Logo address

Parallella

目次

2015/03/15

Parallella

今 Parallella がマニアの間で注目されている。クレジットカードサイズながら ARM の 18-core で構成され、超小型スーパーコンピュータとして期待されているのである。スペックは rs-online のページを見るのが早い[2]。

文献
[1] Parallella
https://www.parallella.org/
[2] Parallella Epiphany III Desktop Computer
http://uk.rs-online.com/web/p/processor-microcontroller-development-kits/8194709/

SD カードを作る

以下に紹介するのは Parallella/Ubuntu (文献[3])である。また文献[4]、文献[5]も参考にしている。

プロセッサーのタイプの違いと、display を使うか、使わないかによって 4 種のバイナリが配布されている。

MacBook からの実行例
sdcard のデバイス名を確認

-bash$ cd ~/Downloads
-bash$ ls -l
total 56376488
...
-rw-r--r--@ 1 arisawa  staff  15931539456  3  4 12:42 ubuntu-14.04-hdmi-z7010-20140611.img
-rw-r-----@ 1 arisawa  staff   2219700504  3 14 14:57 ubuntu-14.04-hdmi-z7010-20140611.img.gz
-bash$ diskutil list
/dev/disk0
   #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
   0:      GUID_partition_scheme                        *251.0 GB   disk0
   1:                        EFI EFI                     209.7 MB   disk0s1
   2:          Apple_CoreStorage                         250.1 GB   disk0s2
   3:                 Apple_Boot Recovery HD             650.0 MB   disk0s3
/dev/disk1
   #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
   0:                  Apple_HFS Macintosh HD           *249.8 GB   disk1
                                 Logical Volume on disk0s2
                                 E6EEDEF9-53FD-4649-A81E-0E7934051420
                                 Unencrypted
/dev/disk2
   #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
   0:     FDisk_partition_scheme                        *64.2 GB    disk2
   1:                 DOS_FAT_32 BOOT                    134.2 MB   disk2s1
   2:                      Linux                         7.3 GB     disk2s2
-bash$

僕のカードは sdXC/64GB なので、disk2 がこのカードのデバイス名である。
実はこのカードは新品ではないので、古いパーティションも表示されている。

OS をコピーする。くれぐれもデバイスを間違えてはならない。よくよく確認する。

-bash$ sudo diskutil unmountDisk /dev/disk2
-bash$ sudo dd if=ubuntu-14.04-hdmi-z7010-20140611.img of=/dev/disk2 bs=64k

確認。

-bash$ diskutil list
/dev/disk0
   #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
   0:      GUID_partition_scheme                        *251.0 GB   disk0
   1:                        EFI EFI                     209.7 MB   disk0s1
   2:          Apple_CoreStorage                         250.1 GB   disk0s2
   3:                 Apple_Boot Recovery HD             650.0 MB   disk0s3
/dev/disk1
   #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
   0:                  Apple_HFS Macintosh HD           *249.8 GB   disk1
                                 Logical Volume on disk0s2
                                 E6EEDEF9-53FD-4649-A81E-0E7934051420
                                 Unencrypted
/dev/disk2
   #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
   0:     FDisk_partition_scheme                        *64.2 GB    disk2
   1:                 DOS_FAT_32 BOOT                    134.2 MB   disk2s1
   2:                      Linux                         7.3 GB     disk2s2
-bash$
OK

なお BOOT には3つのファイルが含まれていた。(一旦カードを抜いて、また挿入する)

-bash$ ls -l
total 12816
-rwxrwxrwx  1 arisawa  staff     8607  6  5  2014 devicetree.dtb
-rwxrwxrwx  1 arisawa  staff  2083744  3  3 15:03 parallella.bit.bin
-rwxrwxrwx  1 arisawa  staff  4468792  2  6  2014 uImage
-bash$

default user and the password ([5])

文献
[3] Parallella Software
http://www.parallella.org/create-sdcard/
[4] Create SD Card
http://elinux.org/Parallella_Software
[5] Parallella Quick Start Guide (with gotchas)
http://rayhightower.com/blog/2014/07/07/parallella-quick-start-guide-with-gotchas/

電源

DC Power

Parallella は DC Power に敏感らしい。文献[6] には次のように述べられている。

The Micro USB connector next to the barrel connector can be used for powering the board, but should be used with extreme caution. USB power supplies are generally designed for charging applications and will rarely deliver sufficient current to power the Parallella board — even when they claim to be rated at 2A!

Micro USB connector からの電源補充に関する注意(文献[6])

販売元の RS-Online のページ([7])には barrel connector 電源として、Sony PSP-100 と DCジャック変換アダプタ/メス4.0×1.7(EIAJ No.2メス)→オス5.5×2.1 の組み合わせが紹介されている。僕も確認したが、確かに動作する。変換アダプターの入手先が限られている。現状では楽天市場からしか手に入らない。

他に可能性がありそうなのは USB HUB 用の電源で、4 port であれば 2A をサポートしているのではないかと思われる。

barrel connector の隣にある Micro USB connector を使う時には dip switch を切り替える必要がある。Micro USB connector が使えれば楽である。(推奨はされていないが)使えないか?
USB 充電器の出力には交流成分(リップル)が含まれており(充電目的であれば問題はないが)5Vと表示されていても平均値にすぎない。電池はこの点では心配はない。

リチウムイオン電池は(ニッケル水素と違って)パワーがあり電圧が安定しているので試す価値があろう。
短時間の実験と割り切って、リチウムイオン電池を試した。試したのは手持ちの UNIQ のモバイルバッテリー "POWER CARD"。
Output: 5V, 2100mA
Capacity: 4000mAh
と書いてある。
結果は OK。
最近は amazon で 15000mAh のものも出ているので、これだと1時間は使えるかもしれない。ちょっとした実験用ならば十分だろう。


注意: 厳密に言えば、入力電圧の許容範囲がわからないと長期的なダメージに関しては言えない。不思議なことに、この情報がどこにも書かれていないのだ。互いに USB の規格を守っていると信じるのみである。

文献
[6] Power the Parallella
https://www.parallella.org/power-the-parallella/
[7] Adapteva Parallellaの使用上の注意
http://www.rs-online.com/designspark/electronics/blog/content-1032

ヒートシンク

放熱を良くするために、(ヒートシンクが垂直になるように)基盤を垂直に置けと指示されている。それでも同胞されていた Parallella のヒートシンクはかなりの熱を持つ。赤外線温度計で測定すると50℃にも昇る。文献[8]によるとプロセッサの許容温度は70℃ である。もっと放熱特性の良いものと交換したくなる。最近の PC は上手に電力消費を抑えているので、Parallella でも今後の改善が望まれる。

[8] Parallella Reference Manual
http://www.parallella.org/docs/parallella_manual.pdf

システム管理

日本語環境

配布された OS には日本語フォントが含まれていない。Firefox で日本語のページを見るときに困る。日本語フォントは自分でインストールする。次の2つのコマンドを実行する。

sudo apt-get update
sudo apt-get install fonts-vlgothic fonts-takao-mincho language-pack-ja scim-anthy scim-gtk-immodule nano
参考にしたページ(文献[9])には
sudo apt-get purge ibus ibus-gtk ibus-gtk3
も指示されている。これが必要になる場面があるのかもしれないが、今の所これ無しで動いている。

文献
[9] Parallellaに日本語環境をセットアップ
http://cellspe.matrix.jp/parallella/japanese.html

静的 IP

ssh を使うことを考えると固定した IP が欲しい。

/etc/network/interfaces を次のように書けば、IP が固定される。この例では 192.168.1.21 に固定している。なお、gateway が 192.168.1.254 になっているが、たいていのルーターのデフォルトは 192.168.1.1 である。

# interfaces(5) file used by ifup(8) and ifdown(8)
# Include files from /etc/network/interfaces.d:
source-directory /etc/network/interfaces.d

auto lo
iface lo inet loopback

auto eth0
iface eth0 inet static
address 192.168.1.21
netmask 255.255.255.0
gateway 192.168.1.254

#auto wlan0
#iface wlan0 inet dhcp

/etc/network/interfaces

Name Server

DHCP の利用を止めると、DHCP から提供されていた name server に関する情報も止まる。そのために、ブラウザなどで名前でインターネットにアクセスできなくなる。現在の家庭用のルーターは簡易 name server を兼ねているので ルーターの IP を name server として登録する。筆者の場合:

# Generated by NetworkManager
nameserver 192.168.1.254

/etc/resolv.conf

このファイルのコメントに書かれているように、/etc/resolv.conf は NetworkManager によって上書きされてしまう。Linux (Unix も)は屋上屋を重ねていて、どのファイルがシステム環境を設定しているのか非常に分かり難くなっている。しかもその方法は Unix/Linux の変種ごとに異なるから厄介である。

ホスト名など

僕は(打ち込みが面倒だから)ホスト名は2~3文字にとどめている。今回のは pa だ。
pa

/etc/hostname

このように /etc/hostname で設定するのは Unix の伝統的な設定法で、Linux ではまだ生きている。Mac では、このファイルはもはや使われていない。ここで設定したホスト名は(ssh でログインした時に)コマンドプロンプトで表示される。

LAN 内のホストに(IP アドレスの代わりに)名前で呼び出したいのであれば、/etc/hosts に書き込む。筆者の場合、

192.168.1.15	nyx
192.168.1.20	pi
192.168.1.21	pa

/etc/hosts

などが追加されている。(この他にも多数あるが省略されている)
このファイルは Mac でも、まだ生きている。Mac からの ssh で、名前で呼び出したいなら、Mac 側の /etc/hosts に同じエントリーを追加しなくてはならない。

Unix 系の OS では歴史的な理由からネットワークに関するファイルがバラバラに置かれている。Plan9 ではデータベースとして一つのファイルにまとめられており、見通しが良い。

Desktop

Desktop は未だ生煮え。デザインはシンプルで好感が持てるのであるが、マウスでウインドウを動かした時の追随性が悪すぎるのだ。次の動画はそれを示している。初代の Raspberry Pi の方が遥かにキビキビ追随する。ソフトの問題であり、改善可能な部分なので、そのうち問題が解決されるかもしれない。

Software