address Logo

webcam で OHC (書画カメラ) その2

目次

2011/12/05

QuickCam Pro 9000 その後

僕は2年前に QuickCam Pro 9000 を使った OHC の記事を書いた。これ以来、OHC のさらなる改良に役立ちそうな新たな商品が現れた。すなわち
Logicool HD Pro Webcam C910
である(図1)。

c910

図1. Logicool HD Pro Webcam C910

QuickCam Pro 9000 は200万画素(1600x1200)であるが、この製品は500万画素ものセンサーを持ち
Full HD 1080p (1920 x 1080)
でビデオキャプチャーを行える。さらに
フォーカス: 7cm - ∞(オートフォーカス)
とある。どうやら内部にオートフォーカス機能を備えていて、しかも 7cm まで対応している。
この製品が現れた時に、早速試してみたが、僕の Camon.app ではうまく動かなかった。何しろ重すぎて使い物にならなかったのである。それ以来、これを使うのは諦めていたのであるが、最近になって再度新しい環境の下で試してみた。新しい環境とは
MacBook Air (2010年モデル) + OSX Lion
である。

Logicool HD Pro Webcam C910

C910 にはソフトウェア「Logicool Webcam Software.app」が付属し、もちろん OSX で使える。しかし、モニター画面が小さすぎて OHC 目的では使い物にならない。
しかし OSX の QuickTime Player 10.0 で C910 が動作する。メニューによると
品質: 中、高、最大
となっている。そしてインスペクターによると
中: 320 x 176
高: 640 x 480
最大: 2592 x 1944
である。

筆者は
(a) MacBook 2009 年モデル(2.0GHz 13インチ アルミニウム) + (Snow Leopard)
(b) MacBook Air 2010 モデル(1.6GHz 11インチ) + Lion
を試してみたが、共に「最大」は重すぎて全く使いものにならない。他方「高」はスムーズに動作する。
うれしい事に、QuickTime Player 10.0 はフルスクリーンモードを持っており、このモードは OHC とは極めて相性が良い。高は C910 の能力を十分に発揮できないのであるが、OHC としては実用の範囲に入るであろう。

最後に我が Camon.app であるが、このアプリは最大画質で読み込んでおり、そのうちの一部を画面に表示する事によってズーム機能を実現している。しかしこのことが仇になって、(a)のシステムでは重くて使い物にならなかった。
(b) ではどうか? 驚いた事に、(b) のシステムでは(軽快とは言えないが)、OHC として十分に実用になるレベルで動きに追随してくれる。理由はよく分からないのであるが、多分グラフィク回りのハードウェアの違いであろう。画質は QuickTime Player 10.0 よりも遥かに良好である。他方フルスクリーンモードがサポートされていないことに不満が残る。

注1. 時々問題を起こすようだ。動きが停止することがある。カメラをリセットすれば回復する。「Video Device」を一旦「None」にして、また「Logitek」に切り替えればよい。

カメラスタンド

Pro 9000 と C910 ではカメラ固定部の形状が異なるので、Pro 9000 用に作ったカメラ三脚スタンドは使えない。そこで役にたちそうなものを探した。アマゾンで
Zライト MANON ZM-002N (山田照明)
が売られている。小型の照明スタンドなので、ポータブルな OHC には使えそうだ(注)。
注: 現在では ZM-014 が売られており、この方が使いやすそうである。

ZM-002N

図2. Zライト MANON ZM-002N

これにどのように C910 を取り付けるか? 単に載せてみる。C910 は重いが、かろうじてバランスがとれており、スタンドは何とか倒れないでいる。しかし、C910 は固定部には滑り止めが張られているが、不安定である。そのままでもる何とか使えるが、対策をとることとした。クリップと輪ゴムで固定する。

stand

図3. ZM-002N に取り付けた C910

クリップの部分を拡大すると

clip

図4. 固定用のクリップと輪ゴム

ZM-002N には 25W のランプ(口金 E17) が付属しているが、発熱が大きい。適当な LED ランプに置き換えると良い。筆者は Panasonic の LDA6D-E17(昼光色 6W 480ルーメン E17)を使っているが、もう少し暗い方が良いかもしれない。斜め取り付けタイプの LDA4D-H-E17/BH/S は ZM-002N には挿入できなかった。少し大きいのである。

LED

図5. ZM-002N に取り付けた LED ランプ

サンプル画質

図6に、システム(b)での ZM-002N を使った OHC のスクリーンのサンプルを示す。

capture2

図6. MacBook air + C910 + Canon.app
クリックで拡大

これだけ大きく拡大でき、これだけの画質を確保できていれば、実用的には問題はないであろう。

課題

Camon.app に画面を180度回転するモードが欲しい。でないと、自然な OHC の使い方ができない。時間があれば(やり方が分かれば)、このモードをサポートしたい。
QuickTime Player には画面回転モードがあるが、このモードはファイルを再生する場合にしか使えない。Live View に回転モードを備えるニーズを QuickTime Player の設計者は考えなかったのだろう。

おわりに

二年前には OHC は高価な大きなものしか無かったのであるが、現在では(ネットで検索すると)安価でポータブルな OHC スタンドが売られている。その点で2年前と事情は大きく異なってきており、必ずしも手作りが必要ではなくなっている。手っ取り早くポータブルOHCが欲しい人は、そうした既製品も良いだろう。

文献

[1] Logicool HD Pro Webcam C910
http://www.logitech.com/ja-jp/webcam-communications/webcams/devices/6816
[2] Z-LIGHT
http://www.zlight.net/compact/zm_002n.html